5000兆円欲しい!
ちょっと前に流行ったアレである。5000兆円というと日本のGDPのほぼ10倍、使い切るには人生を何周する必要があるのだろう。
5000兆円はとてつもない金額だ。だが、5000兆という数自体は強いわけではない。
大きな数とは
唐突だが、読者諸賢は紙とペンを使ってどれくらい大きな数を書けるだろうか。続きを読む前に少し想像してほしい。
先に断っておくが、∞を使ってはならない。大きい数について話しているときに横から「え、∞でいいじゃんw」とか言い出すのはいささかナンセンスである。*1
こういうやつはモテない。
日本の数の単位として最大である無量大数は 10^68 なので、ひたすら 1111... と書き続けるだけで容易に打ち倒すことができる。
このやり方はスマートではないし、生まれる数の大きさは努力の割にしょっぱい。
必死こいてようやく1無量大数を越えられる程度で、1不可説不可説転(仏教のすごい数)にワンパンされる。
ちなみに 1不可説不可説転 = 10^(7*2^122) である。
スマートな読者の大半はきっと指数表記を使うことを思いつくだろう。 9999 より 9^9^9^9 のほうが明らかに強い。
もしかすると階乗を使ったひねくれ者もいるかもしれない。
(((...(9!)!)!)!...)! といった感じである。こういうやつはモテない。
ようは繰り返し回数より演算の強さのほうが肝心なのだ。9を使おうが3を使おうが大した問題ではない。
同じ数の加算を繰り返したものは乗算というより強い演算になる。
n+n+n+... = n*a
同じ数の乗算を繰り返せば冪乗になる。
n*n*n... = n^a
では同じ数の冪乗を繰り返すとどうだろう。
n^n^n... = ?
すでにテキストで説明することの限界を感じているが、グラハム数が出るまではがんばる。
クヌースのタワー表記↑
べつにアゲアゲなわけではなく、同じ数の冪乗の繰り返しをまとめるための演算子である。
3つめのルールをほぐすと
となる。
なんかめんどくさそうだが、3^3^3^3 なら3の冪乗が4段なので
3^3^3^3 = 3↑3↑3↑3 = 3↑↑4
とまとめることができるという話である。指数の計算なので展開は右側から行う。
ちなみに 3↑↑4 = 3^7625597484987 である。ご、5000兆(笑)
グラハム数
グラハム数というのは、グラハムの定理とかいちおうルーツがあるのだが、まあドチャクソでかい数である。
数学的な考察がなされた最大の数としてギネスブックにも載っている。
3と3の間に↑をn本並べた数を G(n) としよう。たとえば G(4) = 3↑↑↑↑3 である。
ならば3と3の間に↑を G(4) 本並べた数は G(G(4)) ということになる。
2重の入れ子になっているのでシンプルに G(G(n)) = G^2(n) と表記してしまおう。
このとき G^64(4) をグラハム数とする。
は?
飽きた
もう無理。Slideshareとか使わないとしぬ。
巨大数論
きっかけは小林銅蟲氏の「寿司 虚空編」というマンガである。
comic.pixiv.net※当時は裏サンデーで連載されていた
巨大数論というのは簡単に言えば「より大きな数を定義する方法を探求する理論体系」といったところである。*2
グラハム数は巨大数論の入り口の入り口みたいなもので、「寿司 虚空編」では頭4ページで説明が終わる程度のイキリ巨大数である。
第2話以降はタワー表記よりもっと強いやつらがバンバン出てくる。チェーン表記やアッカーマン関数などだが、それらの演算によって生成される数に比べるとグラハム数などもはや芥子粒、力の差は精子とコブラ(左腕にサイコガンを持つヤツ)のそれに匹敵する。
グラハム数の次に紹介される巨大数はふぃっしゅ数バージョン1というのだが、こいつはグラハム数の指数の肩にグラハム数をグラハム数段並べた数よりずっと大きい。
あとはモーザー数が大きさはさておき視覚的な面白さがあるので紹介したかったのだが、いかんせん気力もないのでニコニコ動画に転がっている解説動画を参照されたし。
んでまあなんか醸し出されている「でかい数作ったやつが勝ち!!」という数学という学術分野においては珍しいヤンチャな雰囲気が面白そうだったのでこの本をかじっている。
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後ろのほうにざっと目を通すと神託がどうこうとか書いてあって嬉しいヤバさがある。体験を感じろ。
一読しても何が書いてあるかわからない。だが死ぬほど読み込めば少しずつわかってくる。少しずつ気持ちよくなってくる。アゲアゲである。
ここまで記事を書いておいてなんだが、巨大数論のどこが魅力的なのかさっぱり説明できる気がしない。
Twitterでは運用規則によって制限されている衒学的な発言がしたいという下心も当然あるのだが、確かに巨大数論を宣伝したい気持ちがあってこうして破滅した生活リズムの中で朝日を浴びながら、Kのキーの反応が鈍くてブチギレ散らかしながらキーボードを叩いているのだ。
そこに意味はない。だが理由はある。