宗教を作ったことがある。
おそらく高校生であった頃の話である。*1
遠方の大学が第一志望だったので、洗面所で一人暮らしのことを考えていた。そのときふと
「宗教勧誘とかきたらどうしよう」
と思った。
つぼ氏はどうにも押しに弱い性分で訪問者を無下に突っぱねることもできそうにないので、いずれ直面するであろう宗教勧誘に対抗するための術が必要であった。
しばらく考えた末、ひとつの結論にたどり着いた。
「テキトーに宗教をでっちあげて、すでに宗教に入っていることにしよう」
「洗面所のポリバケツ教」が産声を上げた。
洗面所のポリバケツ教とは
概要
洗面所のポリバケツ教において、洗面所のポリバケツは御神体であるとされる。
洗面所のポリバケツを御神体とする神(以下「洗面所のポリバケツ」)はたいへんに懐が広いため、信者にポリバケツを洗面所に置くことも、ポリバケツを丁重に扱うことも課さない。*2
さらに洗面所のポリバケツは生きとし生けるものを残らず救済する度量を持ち合わせているため、後述の教義さえ遵守していれば洗面所のポリバケツ教を信仰せずとも死後の魂の救済が約束されている。そんじょそこらのケツの穴の小さい宗教とはスケールが違うのである。
洗面所のポリバケツ教の教義は信者によりフレキシブルに加筆修正が加えられる。
要するに場当たり的なのである。つぼ氏が作った宗教なので、つぼ氏にとって最大限都合のいい解釈ができるようになっている。
教義の大枠
教義の大枠は「してはならないこと」および「すべきこと」の規定である。
信者は死後の魂の救済を受けるために、いくつかの遵守しなければならない項目がある。
以下に一例を示す。
・自らの思想および信条、解釈を他者に押し付けてはならない。
・国家権力のお世話になるような悪事を働いてはならない。
・食事にあたり他者を不快にさせる咀嚼音を立ててはならない。
・同席者の許諾を得ることなしに唐揚げにレモンを絞ってはならない。
・黙祷に際し黙祷することを宣言してはならない。
また、信者は死後の魂の救済を受けるために、いくつかの遵守したほうがよいとされる項目がある。
以下に一例を示す。
・自分と他者をいたわるべし。
・信者は互いに良好な関係を築くべし。
・ほどほどに向上心を持つべし。
・爪はこまめに切り、掌の側から見て爪が見えない程度の長さを保つべし。
・米は残さず食べるべし。
かなりふわっとしている上に、これらの項目は信者の協議によりwikipediaよろしく頻繁に修正が行われる。
2017年10月現在、これらすべてを確認する方法はない。
しかしながら、項目を網羅した一覧の作成が試みられている。拡張子は.txtを予定している。
救済措置について
生命及び身体の危機などによってやむを得ず前述した「してはならないこと」に違反した場合については、洗面所のポリバケツは寛大な心を持って処するとされる。ちょっとくらいなら大丈夫ということである。
洗面所のポリバケツのケツ穴はレゴランドより広い。
他の宗教との関係について
洗面所のポリバケツ教は他の宗教における解釈に対し一切の否定を行わない。
掛け持ちも乗り換えも思いのままである。
お前がそう思うならそうなんだろう。お前の中ではな。
2017年10月9日現在、洗面所のポリバケツ教の信者の総数は3名である。